学級の係や委員会を決める際、まず最初に学級委員を選出することになると思います。
私の場合は生徒アンケートと適性検査の結果をベースに、最終的には担任の総合的な判断のもと学級委員を決めていました。
今回はその具体的な方法についてまとめたいと思います。
選挙で票数が一番多かった生徒を学級委員に選出すればいいんじゃないの?
票数から決めることも有効だけど、単なる人気投票にならないよう注意したいね。
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※ご紹介しますのは個人の実践に基づく見解ですので、予めご了承ください。少しでも先生方のご参考になれば幸いです。
「求められる人物像」の共有
私は学級委員を選出する際、事前に「担任が求める学級委員の人物像」を全体で共有し、その上で生徒アンケートを行うようにしています。
- 学級訓の意味を正しく理解し、確実に実行することができる。
→詳しくは下のリンクをご参照ください - どうすれば全員にとって居心地の良いクラスになるのか真剣に考え、クラスメイトと協力しながら全体を見て発言や行動することができる。
- クラスが認められることに喜びを見い出し、自分だけではなくクラスのことに責任を持てる。
これらについては担任の先生方それぞれで求めるものが異なると思いますが、大切なのはアンケートを行う前にそれを全体へ正しく理解させることだと考えます。
この手順を踏まないとアンケートが単なる人気投票になりかねません。
また学級委員の資質について、過去に「どんな人に学級委員をやってほしいか?」を生徒同士で話し合わせてみたことがあるのですが、「明るいクラスにしてくれる人」などのざっくりしたものになってしまうことが多かったため、それ以降は担任から示すようにしました。
担任が求める学級委員の人物像を具体的に示すことで、学級委員への期待や指導の方向性を明確にすることができます。
「学級委員が導く方向」の共有
学級委員の仕事には様々なものがあり、他の係や委員会の仕事に比べて自主性が強く求められます。
そのことから学級委員自身が何を念頭に発言、および行動し、クラスをどういった方向に導いてほしいのかもあらかじめ全体で共有するようにしています。
私の場合、それを「担任から学級委員に託す最大の使命」と名付けていました。
担任がいなくても全員が居心地の良いクラスをつくり上げ、学級目標を達成する
「担任がいなくても」というキーワードを入れることで、学級委員自身が担任になったつもりで考え、自主的に行動しようとすることをねらっています。
また「先生だったら、こんなとき何て言うかな?」というひとつの判断基準ができ、学級委員としてとるべき行動もイメージしやすくなります。
くれぐれも学級委員という仕事が、単に担任から言われた雑務をこなすだけの仕事とならないよう注意したいですね。
「学級訓」「担任から学級委員に託す最大の使命」「学級目標」、これら3つの関係についてまとめると
安定的な学級経営を実現するための大前提として「学級訓」があり、
それをおさえながら自治的なクラスづくりを進めるため、リーダーである学級委員は「担任から学級委員に託す最大の使命」を全うし、
その先に1年後のゴールとして「学級目標」の達成がある。
というイメージになります。
当事者意識を持つために
先に述べたように、私は学級委員を決める際に生徒アンケートを実施していますが、そのアンケートの内容についてここでご説明します。
生徒が選択できるのは ①他薦、②無記入、③自薦 の3つのうちどれかです。
他薦の場合、仲が良い友達や、比較的目立つ人などを安易に推薦することを避けるため、必ず推薦理由を書かせるようにしています。
一方で1学期の学級委員を選出する際は、クラス内でも誰がどんな人なのかよくわかっていない (特に1年生の場合) こともあるため、無記入での提出も認めます。
また担任として、学級委員をやりたいと考えている生徒は把握しておきたいので、私は自薦も認めていました。
以上3つの選択肢のうちどれを選んだ場合も、下のように自分の考えや思いを書くスペースをアンケート内に設けています。
- 他薦の人
→その人を選んだ理由 - 無記の人
→どんな人に学級委員を務めてほしいか - 自薦の人
→担任からの使命について具体的にどんな行動をするか
学級委員の選出基準については、「単純に票数のみで決めるのではなく、推薦理由や担任の見立てを含め、総合的に判断する」と生徒に伝えています。
候補者への打診とフォロー
アンケート回収後は、その結果と担任としての見立てをもとに学級委員を選出します。
候補者が決まったら、その生徒へ打診する前にあらかじめ学年主任や部活動顧問に相談し、アドバイスをもらうことお勧めします。
こうすることで自分だけでは見取れていなかった生徒の特性や、今抱えている課題などについて教えてもらえることがあります。
様々な面からあらためて候補者を見つめ直し、その上で学級委員を任せることが固まれば当人に打診します。
そして学級委員が決定したらクラス全体に紹介し、所信表明をさせます。
また、学級委員へ立候補したが選ばれなかった生徒たちに対して、立候補してくれたことへの感謝の気持ち を伝えるようにします。
まとめ
私は、学級委員は特に力を入れて育てるべきだと思っています。
学級委員が育てば、集団の力も育ち、その先に自治的なクラスの実現があると考えるからです。
学級委員を選出する過程を通し、全員があらためてリーダーという存在について考え、自分たちの力でよりよいクラスを作っていこう とする意欲を持たせたいです。
※よろしければ下の黒板ゾーンにある今回の付録プリント『学級組織づくり事前アンケート』もあわせてご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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