学級の係や委員会担当の決め方と、決める際のポイントをまとめてみました。
私の場合、基本的には生徒の希望アンケートと適性検査をベースにしながら、担任が生徒それぞれの特性を考慮して決めるというスタイルを採用しています。
係決めは希望生徒同士のじゃんけんで決めていたけど・・・
様々な方法があるけど、根拠を持った学級組織づくりをすることで、その後の安定した学級経営につながると思うよ。
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※ご紹介しますのは個人の実践に基づく見解ですので、予めご了承ください。少しでも先生方のご参考になれば幸いです。
適材適所を生かした組織づくり
私は係や委員会の担当者を決める際、生徒の希望アンケートと適性検査をもとに担任が役割を決めるという方法を採用していますが、その主な理由としては
- 不要なトラブル防止や指導負担の軽減
- 生徒が成長するきっかけの意図的な設定
以上の2点があげられます。
不要なトラブル防止や指導負担の軽減
「黒板係の生徒が休み時間に遊んでいて、いつも仕事をしていない」
「給食配膳台掃除係の生徒が、表面をなでる程度の拭き掃除しかせず、結局担任が仕上げの掃除をしている」・・・
というのは、私自身が新任の頃に経験したことです。
こうなると担任として当該生徒に指導しなければなりませんが、それが何度も続くのは担任だけでなく生徒にとってもストレスになります。
このような場合、例えば他クラスに仲の良い友達がいて、休み時間のたびに廊下に出ていく生徒より、
休み時間は友達と教室で過ごすことの多い生徒を黒板係にすると、こうしたトラブルが減らせるだけでなく、時にはその友達も手伝ってくれることがあります。
給食配膳台掃除係は普段清掃活動を丁寧にやる生徒を担当にすることで、担任が指導する機会を減らすことができますし、逆にその姿を認め、感謝する機会を増やす こともできます。
生徒のこうした姿は、積極的に保護者の方に伝えたいですね!
ちなみに係活動に積極的でない生徒は、その生徒と比較的親交の深い先生が担当する教科や、所属する部活動の顧問が担当する教科の連絡係を割り当てていました。
生徒が成長するきっかけの意図的な設定
担任が係や委員会の担当者を決めることで、例えば「普段あまり目立たないが、イラストを描くのが得意」という生徒に掲示物を作成する係を任せたり、
「学級委員のように全体へ指示を出すことは苦手だが、周りへの気遣いがよくできる」という生徒にサポート係 (欠席者の仕事を代行したり、学級委員のサポートをしたりする係) を任せたりするなど、
生徒それぞれの特性を生かした学級組織づくり をすることができます。
すると、仕事を通して生徒が自身の適性に気付くことがあるかもしれませんし、担任が生徒の仕事ぶりをクラス内で紹介することで、生徒同士が認め合い、感謝し合うきっかけをつくることにもつながります。
また、同じ係や委員会になったことで 交友の輪が広がる ことも期待できます。
(じゃんけんやくじ引きで決めると、逆に人間関係トラブルのもとになることがあります)
学級委員と相談して学級組織をつくるのもアリだね。
担任よりも生徒の特性とか人間関係をよくわかっているもんね。
配慮すること
先に述べたように、私は係や委員会の担当者を決める際、生徒の希望アンケートと適性検査をもとに担任が役割を決めるという方法を採用しています。
ただ生徒の中には、こうしたやり方について否定的な生徒もいます。
「大人に決められるぐらいだったら、くじ引きの方がマシ」と思っている生徒は少なくありません。
このことから私は希望アンケートを取る前に、この選抜方法を採用する理由について生徒へ丁寧に説明するようにしています。
- チーム競技でのポジション決めはじゃんけんやくじ引きでは決めない。
- それは監督が選手それぞれの特性を考慮し、適材適所に人員を配置することでチーム力が上がるから。
- クラスには「掃除が得意な人、苦手な人」、「人前で話すことが得意な人、苦手な人」、「読書が好きで本に詳しい人、絵を描くことが好きな人」など、様々な特性を持った人がいる。
- だからこそチーム競技と同じように、担任が生徒それぞれの特性を考慮し、適材適所に人員を配置することで、みんなが過ごしやすいクラスづくりをしたい。
- もちろん、それぞれの希望を考慮しながら決めていくが、希望通りにならないこともある。その場合は気持ちを切り替えて、クラスのために仕事に取り組んでほしい。
以上はアンケート前に私が生徒へ話していることです。
部活とからめて話をするといいかもね。
また各係の仕事内容は、全体に向けた口頭での説明はもちろん、具体的に文章でまとめ、いつでも確認できるよう担当生徒名と共に一覧表にして教室に掲示します。
こうすることで、誰が、いつ、何をするのかをクラスの全員で把握 することができます。
※係の種類と仕事内容については下のリンクをご参照ください。
そのほか、1人の生徒に学級の係と生徒会の委員会両方を割り当てることは避け、可能な限り1人1役とし、生徒が ひとつの仕事に集中 できるよう配慮しています。
まとめ
ここまで、私が実践する学級の係・委員会担当の決め方についてご紹介させていただきましたが、この手法の最も危ういところは
「頑張っている生徒ほど、負担が大きく、人気のない係や委員会の担当になりやすい」
という点です。
逆の場合はそもそも負担の少ない係や委員会を希望していることがほとんどなので、担任と生徒の利害が一致して希望通りになりやすいです。
一方で、普段から真面目に係や委員会活動をしている生徒には「努力すればするほど負担が増え、希望が叶わない」と思われてしまう危険性があります。
だからこそ、負担が大きい仕事をしている生徒には担任から積極的に声をかけ、短学活時や学級通信などを通してその努力をクラス全体に共有したり、個人面談や三者面談などで本人にフィードバックしたりするとともに、学期末通信簿の行動評定などで肯定的に評価 するようにします。
(もちろん、それぞれの係で仕事量に差がでないよう事前に調整しておくことは必須です)
適材適所を生かした学級組織づくりは、担当を考えたり、生徒に説明したりするなど始めに手間はかかってしまいますが、その先数ヶ月間の指導負担を軽減し、安定した学級経営につなげることができます。
※よろしければ下の黒板ゾーンにある今回の付録プリント『学級組織づくり事前アンケート』もあわせてご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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