準備物:ワークシート(下のPDF資料)、筆記用具
「卒業式は1番大事な学校行事だ」ってよく言われるよね。
式の練習を始める前に、まずは心構えの部分をしっかり固めておきたいね。
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※ご紹介しますのは個人の実践に基づく見解ですので、予めご了承ください。少しでも先生方のご参考になれば幸いです。
卒業式について考えるきっかけの場面
導入としてまず全体で卒業式までの登校日数や式練習の大まかなスケジュールなどを確認します。
※この授業は卒業式の練習を始める前に実施することを想定しています。
そのあと
- Q1:卒業式は何のためにするのだろう?
- Q2:卒業式の正式名称はなんだろう?
以上2つについて全体で考えます。
Q1 は多様な意見が出やすいので、それらを認めながら Q2 の問いに繋げていきます。
- 卒業式の正式名称は「卒業証書授与式」
- よって卒業式は卒業証書を授与するための式典
- ではなぜ証書を授与するためだけにわざわざ人を集めて式典を行うのか
- そもそも証書とは一体何なのか
このように話を広げていくと、次の展開へスムーズに入れると思います。
卒業式の重要性について考える場面
卒業証書について
次に導入部の最後に出てきた「証書」というワードについて深掘りします。
まず○×クイズ形式で「校長先生は3年生全員に卒業証書を授与しなければならない。○か×か。」という問題を出します。
全体の意見を確認したあとに答え合わせをしますが、その際に校長先生が卒業生に対して卒業証書を授与することの法的根拠や【証書の重み】についても丁寧に説明したいです。
校長は小学校の全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない。中学校はこれに準じる。
学校教育法施行規則第58条
※つまり校長先生が認めない者は卒業証書を授与されないため、○×クイズの答えは「×」となります。
- 卒業とは「全課程を履修し終えること」であり、その証として校長は卒業証書を授与する。
- 証書とは事実を証明する文書にあたる。よって卒業証書は公文書であり、極めて重要な事実の証明。
- 以上より、厳粛に式典を行い、授与される。式典や儀式は一定の規則に従って行う作法であり、そこには伝統的に安定した型がある。
国が定める義務教育を終えたことの証明書って考えると、重みが増すよね。
そういう意味では、生徒だけじゃなくて保護者の方にとっても大事なものだよね。
参列者の服装について
私は3年生の担任になると卒業式練習の前に必ずこの授業をしているのですが、「礼服って何?」や「結婚式とお葬式の服装の違いは?」といった質問に対して正しく答えられた生徒はいませんでした。
せっかくの機会ですから、式典で着用する礼服は普段着ているビジネススーツとはまったく異なることと、服装からも卒業生に対して礼を尽くしている ということにもぜひ気付かせたいです。
ここでは「先生方はどんな服装で卒業式に参加するでしょう?」という問いをきっかけに、生徒の意識が 「自分たち(卒業生)以外の人」 に向けられるよう工夫します。
その際、昨年の式中の写真やウェブサイトなどを活用して、生徒が礼服について視覚的に確認できるようにすると効果的ですね。
卒業式の準備について考える場面
ここでは
- 卒業式ではどんなことがどんな順番で行われるか
- 先生方や在校生、地域の方々はどんな準備をするか
以上2つについて考えながら、卒業式が多くの人に支えられて成り立っていることに気付かせたいです。
① と ② のどちらも3~5人程度の学習班で話し合い、それぞれの班の考えを全体で共有しながら答え合わせをしていきます。
私の場合、特に ① では「卒業生が最後に入場し、最初に退場すること」の意味を考えさせていました。
つまり式の主役(最重要人物)は卒業生であって、それ以外の人は保護者も来賓も教員もすべて主役を祝うために集まったオーディエンスであるということです。
また ② では答え合わせのときに卒業式に関する職員会議資料のうち役割分担の部分を抜粋して生徒に提示しました。
会場設営、卒業記念品の発注、来賓招待、卒業証書の浄書、壺花の発注、送辞指導…など、卒業式の準備は細かく見れば数十個の仕事に分類されるので、大変多くの人が関わっていることが実感できると思います。
3年生には、ぜひそうしたことも胸に留めながら式に参加してほしいと思っています。
卒業式の役割分担表ってすごいボリュームだよね。
このことについて説明すると、さすがに生徒もびっくりするよ。
まとめ
最後に卒業式に対する担任の想いを聞いたあと、生徒自身が「どんな想いを持って卒業式に臨みたいか」について考える時間をとります。
ここは先生方によって好みのやり方があるところだと思います。
私は正直、まとめの前に担任が自身の想いを話してしまうと生徒の思考を狭めてしまうのであまり好きではありませんし、そもそも授業の最後に振り返りやまとめを文章として書かせるのもあまり好きではありません。
※個人の好みの話で、その教育的効果を否定しているわけではありません。
なので個人的には、「どんな想いを持って卒業式に臨みたいか」という問いについて少しの間個人で静かに考える時間をとって、その後に担任の想いを簡単に伝えて終わるという流れが一番好みですが
本時の指導案はより多くの先生方が受け入れやすく、授業自体が脱線しにくいように構成を組んで作成しています。
よって学年の状況や先生方の指導方針など様々事情があると思いますので、それに応じて授業内容を柔軟に変えていただければ幸いです。
新型コロナウィルス感染症が日本でも広まり始め、満足に卒業式をさせてあげられなかった当時の3年生とあの時の悔しい想いは今も強く心に残っています。
何事もなく、当たり前のように卒業を祝うことのできる喜びを胸に刻みながら、今年も心を込めて式の準備を頑張ろうと思います。
以上です!お疲れさまでしたっ!!
※よろしければ下の黒板ゾーンにある今回の付録プリント『指導案 「卒業式を考える」』もあわせてご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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