新学期が始まると、学級の係活動や各種委員会の担当者を新たに決めることになると思います。
今回は個人の実践紹介として、私が実際に設置している係活動の種類と、その具体的な仕事内容、および運営していく際のポイントについてまとめてみたいと思います。
私が担任になったら、レク係やおかわり係、あいさつ係、写真係なんか置きたいなぁ。それから・・・
ユニークな係は学級に個性が出て楽しいけど、まずは基本をおさえておこうね。
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※ご紹介しますのは個人の実践に基づく見解ですので、予めご了承ください。少しでも先生方のご参考になれば幸いです。
係活動の種類は精選する
基本的な方針として学級の係活動の種類は担任が精選し、
必要最低限の種類 を 必要最低限の人数 で取り組ませる
ようにしています。
係活動の種類を充実させると学級に個性が出ますし、楽しみながら活動に参加できたり、中にはその仕事に自分の適性を見出す生徒が現れたりするなど、メリットとなり得る部分も多くあります。
ただ一方で、個人的には以下のようなデメリットも少なからずあると考えています。
- 係ごと・生徒ごとに仕事量の差が生じる
- 担任が生徒個人の取り組み状況を把握しづらくなる
- 指導が繁雑になる
「係ごと・生徒ごとに仕事量の差が生じる」については、
必要性の高い係とそうでない係では “やらなければならないこと” の量に違いがでるため、生徒からすると「大変な仕事」と「楽な仕事」という区別がされやすくなります。
そうなると結果的に「楽な仕事」の人気が高まってしまい、「大変な仕事」を担当する生徒は不満を抱きやすくなります。
また、仕事量に対して必要以上の人数を配置すると、連携不足で抜けが生じたり、何もしない生徒がでてしまったりすることもあります。
「不公平」ってストレスに感じるよね。
係は一度決めるとなかなか変更できないから、注意が必要だね。
「担任が生徒個人の取り組み状況を把握しづらくなる」と「指導が繁雑になる」については、
逆に係活動の種類を精選することで、担任が各係の仕事内容と生徒個人の取り組み状況を把握しやすくなりますし、
係の担当者数を最適化し、生徒が活動せざるを得ない状況をつくる ことで、何もしない生徒が現れることを防止し、指導する機会も減らしていくことができます。
係や委員会活動を通して生徒に何を身に付させたいのか考えたとき、私が担任として最も重視することは
自分の役割に責任を持ち、最後まで取り組もうとする姿勢
です。
これを達成するためには、先に述べたように「必要最低限の種類を必要最低限の人数で取り組ませる」ことが、今までの経験上最も効率が良いと感じています。
可能な限り「一人一役」にする
一般的に生徒が担当する仕事としては、学級の係活動の他に生徒会の委員会活動があり、どちらも学期初めに役割分担すると思います。
その際私は、生徒が係と委員会の仕事を兼任することがないように配慮していました。
理由は、1人1つ割り当てられた自分の仕事を、細かく、徹底して取り組ませる ことに重きを置いているためです。
よって学級の係活動を担当する生徒は基本的に委員会へ所属させず、逆に委員会に所属する生徒は学級の係活動を免除しています。
いろいろな考え方があると思いますが、私の場合は「量より質」を重視しています。
仕事内容を明確に示す
別記事「係・委員会担当の決め方」 (下部にリンクがございます) でも述べましたが、
各係の仕事内容は、全体に向けた口頭での説明はもちろん、具体的に文章でまとめ、いつでも確認できるよう担当生徒名と共に一覧表にして教室に掲示しています。
こうすることで、誰が、いつ、何をするのかをクラス全体で把握する ことができます。
また、指導するときの根拠 にもなります。
例えば、クラス内の環境整備に努める係があったとして
「教室をいつもきれいに保つよう努力する」
と示すより
「昼休みと帰りの会後に机を整列させ、床に落ちているゴミを拾って捨てる」
と示した方が生徒自身も行動しやすいですし、できたか・できていないか の判断が容易になり、担任の指導も入りやすくなります。
たしかに、「自分的にはきれいにしたつもり」なのに指導されたら納得しづらいところはあるよね。
おすすめの係「サポート係」
私の場合、学級委員の補佐的立ち位置として「サポート係」というものを設置しています。
この係の目標は「スムーズな学級運営ができるよう学級委員と協力し、日々の生活の細かな部分においてクラスメイトの活動をサポートする」です。
具体的には、
- 学級委員と協力して欠席した人の仕事の代行や、各係のサポートを行う。
- 4時間目終了後、速やかに白衣を給食当番へ配付し、当番以外の生徒へ着席を促す。
- 帰りの会終了後に机の整列とロッカー整理の最終確認をし、点検表を担任に提出する。
などの仕事を担当します。
この係は他の係に比べ、自ら気付き、自発的に行動することが求められます。
そのことから、担当者には「学級委員という役割は負担が大きいが、比較的周りが見えて、自分の仕事に対して積極的に取り組めるような生徒」を割り当てています。
担当する生徒には、担任としてこの係に期待することと、その生徒を割り当てた肯定的な理由を事前に個別で説明します。
こうすることで生徒のモチベーションアップが期待できます。
また過去にはこの係活動で自信をつけ、その後学級委員に自ら立候補した生徒も複数名いました。
まとめ
ここまで、学級の係活動に関する個人の実践ついてご紹介させていただきました。
学期初めはやることが多く余裕がないことがほとんどですが、係活動について準備・検討することで、その先数ヶ月間の指導負担を軽減し、安定した学級経営につなげることができます。
また忘れてはいけないのは、担当を決めたらそれで終わりなのではなく、生徒が自分の役割に責任を持ち、最後までやりきることができるよう、担任が普段から声掛けやサポートを継続的に行っていくということです。
係と委員会の活動を通して生徒ひとりひとりが自身の成長を実感し、かつ学級がその最終目標である「担任がいなくても全員が居心地の良いクラス」に近づいていけるよう、粘り強く丁寧に指導していきましょう。
※よろしければ下の黒板ゾーンにある今回の付録プリント『学級の係活動分担表』もあわせてご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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