夏休みに入り、保護者面談を行う学校も多くあると思います。
中でも初任の先生で初めて保護者の方と面談する場合は、「何を準備すればよいのだろう?」「当日会話に詰まってしまったらどうしよう?」など不安になられている先生もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、私が面談を行う際に準備していることや当日の会話の流れ、意識していることなどをまとめてみたいと思います。
その場のノリでなんとかなるっしょー!
(そういう感じで乗り切れちゃう先生がいるのも事実・・・)
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※ご紹介しますのは個人の実践に基づく見解ですので、予めご了承ください。少しでも先生方のご参考になれば幸いです。
保護者面談に対する基本的な考え方
私が面談を行う際、最も意識していることは
「この面談を通して、保護者の方と良好な協力関係を築く」
ということです。極端ではありますが、これに近づくことができればオールオッケー!ぐらいの気持ちで臨んでいます。
そして、その実現のためには
- 担任が生徒をよく見ている人だという印象を与えること
- 家庭での困り感を共有して一緒に考えようとする姿勢を示すこと
これらをおさえることが重要であると考え、そのための事前準備をしていきます。
あらかじめゴール(何のために面談をするのか)を決めておくことで、自分のとるべきスタンスが見えてきます。
事前準備について
「担任が生徒をよく見ている人だという印象を与える」 ための準備として、生徒の学校生活の様子を振り返り、面談時保護者の方に伝えたいことをリストアップしていきます。
(ここで付録のPDFファイルをお使いください)
カテゴリーとしては、
- これまでの学習・生活
- 家庭での様子
- これからの学習・生活
の3つに分けて考えていました。
①「これまでの学習・生活」について、学習面ではこれまでの成績から生徒の現状を把握し、授業態度や学習計画表などから学習に対する意欲や取り組む姿勢などをまとめます。
生活面では、体調や友人関係、係活動や清掃活動に取り組む姿勢、部活での顧問の評価、提出物の提出状況(忘れ物の頻度)などをまとめます。
授業に来ていただいている他教科の先生や、生徒が所属するの部活動の顧問の先生などから情報収集すると、自分が見えていなかった生徒の姿を知ることができますね。
※学習計画表については別記事にてまとめましたので、下のリンクより合わせてご覧ください。
②「家庭での様子」については、普段の生徒との会話や生活アンケートなどで気になった点などをまとめます。私の場合は家庭学習や生活習慣、スマートフォンの使用などについて話題にあげることが多いです。
③「これからの学習・生活」については、①「これまでの学習・生活」でまとめたことをもとに、これからの学校生活について生徒が何を意識していくと良いか、前向きで具体的な提案を検討します。
特に3年生は進路についての方向性を話し合う機会にもなるので、事前に生徒と面談して希望を聞いたり、それに対する進路情報をまとめたりすることが必要です。
また、生徒の課題について保護者の方に伝える場合(例えば授業中の態度など学校生活における各種改善点)は、1つか多くても2つまでにしぼるようにしていました。
普段の見取りや、生徒との関わりから得た情報は随時記録をとっておくと良さそうだね。
面談当日の流れ
準備物は学校や学年ごとに異なると思いますが、参考例として私が普段面談時に教室へ持って行く物のリストを載せさせていただきます。
- 面談シート(付録のPDFファイル)
- 考査結果一覧表
- 学習計画表
- 生活アンケートや各種振り返りシートなど
- 勉強法についてまとめられた書籍
- 進路関係の資料(書店で販売されている県内高校紹介書籍なども)
- 生徒の作成物などで保護者に見せたいもの
- 自分用のPC、筆記用具、水筒
①これまでの学習・生活
忙しい中わざわざ時間をとってくださったことに感謝を伝え、ちょっとした雑談の後面談を始めます。
私の場合、まず最初に「ご家庭で学校の話をされますか?」と聞きます。もし頻繁に学校の話をしているようであればどんな話をしているのか教えていただき、それに付随するエピソードなどを伝えるようにします。
反対に家庭で全く学校の話をしていない場合は、「もし気になることなどございましたら、遠慮なくおたずねください」と伝えます。
その後は面談シート(付録のPDFファイル)に記入したことをもとに、これまでの学習面と生活面について 肯定的に伝えます 。
特に友人関係について心配されている保護者の方は少なからずいらっしゃるので、休み時間の過ごし方などを伝えるのも良いと思います。
先はまだ長いので伝えることは簡潔に。教員側の話が長くならないように注意です!
②家庭での様子
学習面と生活面について伝えたら、「学校では○○な様子が見られました(良いこと)が、ご家庭ではどうですか?」という質問から発言機会を保護者の方に移します。
そして会話の流れの中で、事前に面談シート(付録のPDFファイル)へ記入していた気になった点についての質問をはさんでいきます。
先にも述べましたが、私の場合は家庭学習や生活習慣、スマートフォンの使用などについて話題にあげることが多いです。
③困っていることや担任と共有しておきたいこと
家庭での様子を聞き取る中で保護者の“困り感”が見えた場合、それについて深堀りしていきます。
ここでは、「家庭での困り感を共有して一緒に考えようとする姿勢を示す」 ためにカウンセリングマインド(受容・傾聴・共感)で保護者の方のお話をしっかり聞くことを最優先にします。
【 伝える < 聞く 】 ってことね。
また、生徒の課題について保護者の方に伝えることがある場合(例えば授業中の態度など、学校生活における各種改善点)は、この会話の中で「実は学校でもこうしたことがありまして・・・」と保護者の発言につなげるかたちで伝えると、スムーズに話題にあげることができます。
こうした場合は単に担任から生徒の課題について一方的に伝えて終わるのではなく、
「○○さんは△△について苦手意識がある様に見られたのですが、ご家庭ではいかがですか?」
「もし、ご家庭で意識されていることなどございましたらアドバイスいただけますでしょうか」
といったやわらかい表現で伝えるようにし、あくまでも 「お子さんについて一緒に考えたい」 という姿勢を示します。
基本はこれまでの生徒の頑張りを認め、それを保護者に伝えることを優先にします。生徒の課題を伝える際はその伝え方に十分配慮しましょう!
④これからの学習・生活
これまで保護者の方から聞き取ったことや面談シートに記入したことをもとに、これからの学校生活で生徒を育てていく方向性について相談します。
私はよく「これからの学校生活で、お子さんにつけてほしい力や、担任からの関わり方などで希望されることはございますか?」と聞きます。
- 学校の様子を伝える
- 家庭での様子を教えてもらう
- 生徒の課題について共有する
- これからの方向性について一緒に考える
このステップで面談の基本的な流れを構成しています。特に最後は明るく、前向きにこれからの話ができるよう意識します。
終わり方って強く印象に残るから大事よね。
おさえておきたいポイント
- 時間を守る
- 面談の順番を工夫する
- 迷ったら即答を避ける
①「時間を守る」について、②に関わる部分でもありますが開始時間と終了時間は厳守します。そのためには余裕をもたせたプランニングが必要不可欠です。
ただし、その一方で面談が間延びすることも良くありません。
私が初任の頃、保護者の方から特に質問なども無く、時間が余ってしまった場合「何とか間を持たせなければ!」と設定時間いっぱいまでダラダラと一方的に話をしていました。
しかし考えてみるとこの後に仕事や予定が入っている場合もありますし、何より「聞きたいことや話したいことがあれば言われているはずだよなぁ」と思い、無理に会話を引っ張ることはしないようになりました。
設定時間の残り5分程度で「その他、何か気になっていることやお話したいことなどはございませんか?」と質問し、特になければ挨拶をして終わるようにしています。
②「面談の順番を工夫する」について、円滑に面談を進めていくためにも面談の順番決めは重要です。
同じ学校に兄弟姉妹がいる生徒の保護者面談は、事前に兄弟姉妹が在籍する学級担任の先生と日程を調整しなければなりません。
また、こちらから伝えることが多くある場合や、普段の電話対応などで時間が長くなりがちな保護者の方については、
その日の最後に設定してじっくりお話する時間を確保するか、逆に他の保護者の方と連続させて設定するかを検討します。
(他の保護者の方と連続させて設定すると、「次の面談がございますので・・・」と会話を切り上げやすくなります)
③「迷ったら即答を避ける」はリスクマネジメントです。不要なトラブルを避けるためにも、自分1人で判断することに不安がある場合は、「確認の上、改めてご連絡させていただきます」と保護者の方に伝え、面談後主任に確認します。
「大丈夫です!」って言った後の「やっぱりダメでした」は避けたいよね。
まとめ
ここまで、保護者面談の事前準備と当日の流れについてご紹介させていただきました。
先に述べたように、私は 『この面談を通して、保護者の方と良好な協力関係を築く』 ということをゴールとして設定し、常にその達成に向けた関わり方を意識します。
それは、生徒指導は学校だけで行うのではなく、家庭と協力して行うことでその効果を格段に高めることができると考えているからです。(その他様々な面で担任の精神的な余裕にも大きく関わります)
もちろん簡単にできることではありませんが、担任のそうした姿勢を保護者の方に少しでも理解していただけるよう、できる限りの準備をして面談の日を迎えたいですね。
※よろしければ下の黒板ゾーンにある今回の付録プリント『保護者面談シート』もあわせてご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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