割合って便利だけど、苦手な生徒も多いよね。
教える側も神経使いますな。
※ここでご紹介させていただくものは、再現性を高め、先生方の授業準備にかかる負担を軽減することを最優先に作成しておりますので、あらかじめご了承ください。
教師用と生徒用がセットになっています。
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このブログを初めてご覧になられた先生は、下のリンクから私が普段大切にしている授業づくりに対する基本的な考え方も合わせてご覧いただけますと幸いです。
全体像
前時は
- 平均値や合計値だけでは読み取れる情報に限界があることに気付く
- より詳しく資料の様子を読み取るためには、平均値や合計値以外の方法も使って様々な視点から資料を分析する必要があることを理解する
- 資料を分析する方法のひとつに、度数分布表の活用があることを知る
- 全体の度数が異なる資料を比較する場合、単純に度数の大小だけを比べると正しく比較できない場合があることに気付く
というステップで授業を構成しました。
これを踏まえ、本時は
- 全体の度数が異なる資料の比較方法について考える
- 相対度数と累積相対度数について知る
- 相対度数と累積相対度数を使って資料を比較する
というステップで授業を構成します。
導入
1⃣ 復習問題(個人→一斉)
復習問題として前時の学習内容に関する問題を出題しています。
(1)の度数分布表の空白にあてはまる数字を書き入れる問題では、本時の学習内容に関係する「度数」と「累積度数」それぞれの意味について確認します。
(3)の昨日の睡眠時間が7時間の生徒がどの階級に入るか答える問題では、「未満」の意味について確認します。
(4)昨日の睡眠時間が短い方から数えて10番目の生徒がどの階級に入るか答える問題では、「昨日の睡眠時間が最も短い人と、最も長い人はそれぞれどの階級に入る?」といった問いかけから、身長順に1列で整列するように睡眠時間が短い人から順に1列で整列し、階級ごとに途中で区切りを入れたイメージを持たせると理解しやすいと思います。
※教師用ワークシートをTV等で表示すれば板書の必要がなくなります
今日のめあて
前時の授業内容を簡単に振り返りつつ
「A組とB組の60点以上の人数を比較するとA組の方が多いことから、B組よりもA組の方が数学の得意なクラスと言えるか?」
という問いについて考えた際
「全体の度数が異なる資料を比較する場合、単純に度数の大小だけを比べると正しく比較できない場合がある」
という問題が発生したことを全体で確認します。
それを受け
「どうすれば全体の度数(度数の合計)が異なる資料を比較することができるのだろう?」
という授業者の問いかけから、本時のめあて
「度数の合計が異なる資料の比較方法について考え、実際に比較してみよう」
に繋げていきます。
展開
2⃣ 全体の度数が異なる資料の比較方法について考える(個人or周囲→一斉)
A組とB組を合わせた平均点数が60点であったことから、60点以上の生徒は数学が得意な生徒であると仮定し
「数学が得意なクラスはA組とB組のどちらか判断するためには、どのように比較すればよいだろう?」
という問いを通して、全体の度数が異なる資料の比較方法について考えます。
学習形態はまず個人で考えても良いですし、最初から周囲と自由に意見交換しても良いと思います。
授業者は机間巡視をしながら「割合」を利用した比較方法について考えている生徒をピックアップし、一定時間経過後全体でその考えを共有します。
3⃣ 用語の確認(一斉)
4⃣ の度数分布表を参考にしながら相対度数と累積相対度数の意味を確認します。
累積相対度数の意味を確認する際、「該当する階級までの相対度数の合計を表す」ということは「該当する階級までの度数の合計が資料全体に対してどのくらいの割合になるかを表している」ことを理解させます。
ここは授業者が講義形式で説明しても良いですし、
生徒の実態に応じて授業者は説明せず、生徒自身が教科書から調べても良いです。
その場合、3⃣ と 4⃣ の活動をひとまとめにし、ここから生徒主体の活動に入ります。
準備:模範解答として教師用ワークシートを教卓や黒板に掲示する
- 4~6人程度の学習班をつくる
- 班の中で自由に意見交換しながら各自問題を解き進める
- 残り時間を意識しながら各自のタイミングで模範解答を確認する
- 「振り返り」をする
- 予習や問題集に取り組みながら班で困っている人のサポートをする
- 教科書や一人一台端末などを必要に応じて自由に活用させます。
- 班活動に対して意欲的でない生徒がいても、他者との関わりを強制することはしません。個人でじっくり問題と向き合う姿勢も認めたいです。
「A組とB組の60点以上の人数を比較するとA組の方が多いので、A組の方が得意である」という分析例について自分の考えをまとめる問題は、生徒によってその表現が異なることが想定されますが、ここでは教師用ワークシートに示された解答例の意味が理解できれば良しとします。
時間に余裕があれば最後に解答例以外の表現でまとめた生徒の解答も全体で共有できると良いですね。
4⃣ 相対度数と累積相対度数を使って資料を比較する(個人→周囲→一斉)
実際にA組とB組の相対度数と累積相対度数を算出し、そのあと「A組とB組の60点以上の人数を比較するとA組の方が多いので、A組の方が得意である」という分析例について、自分の考えをまとめます。
この問題は前時の授業の最後に出題したものと同じ問題ですが、「本時の学びをいかしてまとめること」という条件を付け加えています。
学習形態についてはまず個人で考え、できた人から周囲と自由に意見交換する時間をとったあと、授業者が生徒を数名ピックアップしてその生徒の分析例に対する考えを全体で共有します。
※度数分布表の答え合わせは授業者が数字を読み上げるだけにします。(意図的不親切)
その際ポイントとなるのは
「全体の度数(度数の合計)が異なる資料でも、割合を利用すると比較することができる」
ということに改めて気付くことです。
また、必要に応じて
1ー(60点未満の生徒の割合)=(60点以上の生徒の割合)
という考え方についても確認しておくと良いと思います。
まとめ
本時の授業のポイントとして
- 全体の度数(度数の合計)が異なる資料を比較する場合、単純に度数の大小だけを比べると正しく比較できない場合がある
- 全体の度数が異なる資料は、割合を利用すると比較することができる
- 全体の度数に対する割合を示すものに、相対度数と累積相対度数がある
以上を全体で簡単に確認します。
そして最後に、次時の授業では「度数の分布を図に表し、視覚的にわかりやすく資料の特徴を表現する方法」について考えることを予告します。
残りの時間は各自振り返りや予習、問題集を解いて授業終了です。
おつかれさまでしたっ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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