新担任の発表が終わり、最初の学級活動。
そこでどんなことを生徒たちへ伝えるか…。
今回は、私がいつも学級開きで生徒に話していることと、話す際のポイントについてまとめてみたいと思います。
他にもやることたくさんあるし、とりあえず自己紹介すればよくない?
もちろん自己紹介は外せないね。
ただ学級開きは年に1度しかない大切な機会だから、これからの生活に対する担任の思いもしっかり伝えていきたいね。
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※ご紹介しますのは個人の実践に基づく見解ですので、予めご了承ください。少しでも先生方のご参考になれば幸いです。
姿勢を正す(全学年共通)
生徒に何かを伝えるとき、私は「通常の指示や連絡」と「しっかり心にとめてほしいこと」で、その伝え方を明確に区別しています。
後者について話をする際は、まず生徒に姿勢を正すよう声をかけ、全体の視線が担任に集中するまで待ちます。(担任も生徒の目をしっかり捉えます)
そして場が整ったことを確認したら、声のトーンを下げ、ゆっくりと
「これから真面目な話をします。しっかり心で聞いてください。」
と伝えます。
この手法は頻繁に使用すると効果が薄くなってしまうため、ここぞという時のみ使用します。
学級で大きなトラブルが起きたときや、行事の振り返り、学級開きと学級じまいなど、年に数回のイメージです。
新1年生へ伝えること
生徒の中には小学生時代によく先生から叱られていた生徒や、勉強が苦手で自分に自信が持てなかった生徒、友達とのトラブルを今も引きずっている生徒など、様々な事情を抱えた生徒がいます。
特に小学校で不登校だった生徒は、複雑な気持ちを抱えながら新しい教室に入り、なんとか新しいスタートを切ろうとしています。
そうした生徒たちに対し、私は
「今すでに環境は変わっている」ということと、
「私は “これからのあなた” を見ていく」という2つのメッセージを伝えています。
環境が変わることは、新しい自分になるための最大のチャンスだととらえ
「小学校では失敗ばかりしてしまったけど、中学校では頑張れるかもしれない!」
「不安な気持ちはあるけれど、新しい環境で楽しい思い出をつくりたい!」
と、生徒が少しでも前向きな気持ちを持てるよう、全員に励ましの言葉を贈りたいです。
生徒の視点を「これまでの小学校生活」から、「これからの中学校生活」に切り替えることを意識します。
新2年生へ伝えること
誰とでもチームになれる力をつける
新学級発表後の教室では「〇組が良かったー!」などと口にしたり、不満を態度で表したりする生徒がいるかもしれませんが、そうした言動には担任として早々に指導を入れた方が良いと考えます。
このような場合、私は
「不満を感じることもあるかもしれないが、それを周りに伝わるように表現することは、学級にとっても、自分自身にとってもプラスにはならない。」
ということと、
「社会に出たときに、どんな職業に就くかはある程度自分で選ぶことができるが、その時 自分の周りにいる人を、自分で選ぶことは難しい。」
ということを全体に向けて話します。
だから「誰とでもチームになれる力」をつけることが大事なんだね。
新しいメンバーと出会い、その中で自分をどう磨いていくのか考えるきっかけにしたいね。
“先輩” としてのプライドを持つ
2年生になることで最初に経験する大きな変化は、後輩という存在ができる ことだと思います。
特に部活動では、これから新入部員を勧誘し、指導する場面も生まれます。
また2年生は、先輩と後輩の間に挟まれるという難しいポジションでもあります。
そうした新たな環境の入り口に立ったことを自覚させ、これからの1年間を前向きに歩み始めようとする意欲を持たせたいです。
先輩という、後輩の見本となるべき立場になったことを改めて認識させたいね。
新3年生へ伝えること
これから受験期を迎える3年生にとって、クラスの環境は生徒の心理的な安定 に大きな影響を与えます。
よって、学級開きのタイミングで「周囲に配慮して生活することの大切さ」について改めて全体で確認するようにします。
私が3年生の担任になったときは、以下のことを1年の節目節目に生徒たちへ伝えるようにしていました。
- 夏になれば、部活で見事上位大会進出を決めた人がいる一方で、残念ながら引退を迎える人もいる。
- その後の進路選択も、順調に前へ進める人がいれば、自分の進みたい道がなかなか見つからなかったり、あるいは家族と意見が合わなかったり、努力した成果がなかなか現れなかったりなど、不安や焦りを抱えながら生活している人もいる。
- 年が明けると、ギリギリのラインでチャレンジ受験をする人や、すでに志望校に合格した人、努力したもののそれが叶わなかった人がいる。
- このように、これからの1年間は、様々な立場の人が混在しながら共に生活してくことになる。
- その中で、自分のことしか考えていない発言や行動をすることは、集団生活における安心感を損ない、かつ自分自身への信頼や人間関係などにも悪影響を与える可能性がある。
- そうした意味で、普段の言動や授業を受ける態度はもちろん、感染症対策や提出物の期日厳守なども含め、受験は団体戦である ことを正しく理解してほしい。
- 「自分1人で生活しているわけではなく、みんなと一緒に生活している」という他者の存在に気付く視点と、普段から互いに支え合い、励まし合える教室の環境づくりを大切にしながら、全員でこの1年を乗り越えていきたい。
主体性を持つ(1・2学年共通)
私はよく生徒たちに
「充実した学校生活を送れるかどうかは、自分次第。」
ということを伝えています。
義務教育が終われば、その後の人生をどう生きていくのか、生徒自らが考え、選択し、行動していかなければなりません。
そうした意味で、私は生徒に「人生を主体的に生きようとする心構えを持たせること」をとても重視していて、受け身のままで3年間を過ごしてほしくないと強く思っています。
よって、こうしたことを適宜生徒に伝えながら、あくまでも生徒自身が主役であり、担任はそのサポート役であるということを理解させるようにしています。
担任としての覚悟を示す(全学年共通)
最後に話の締めくくりとして、
今後、意図的に周りへ迷惑をかけたり、誰かを傷つけたりするようなことがあれば、本気で指導する ということと
どんなことがあっても、担任として 最後まで関わり続ける覚悟 があることをクラス全体に伝えます。
まとめ
ここまで、私が担任として学級開きの際に生徒へ伝えていたことをまとめさせていただきました。
これから1年間の土台を形成するにあたって、学級開きは最大のチャンス だと考えます。
担任としての覚悟と、ぶれない軸を生徒へ示すために
「こうなってほしい」という 1年後の学級像 を明確に持って最初の学級活動を迎えることができればと思います。
※よろしければ下の黒板ゾーンにある今回の付録プリント『学級開きで担任が伝えることリスト』もあわせてご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
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