部活動の地域移行については全国的なニュースになりましたが、未だ不透明なところや多くの課題が残されています。
そんな中、東京都教育員会が令和6年度の都立学校部活動指導員(161校)を募集していたので、今回はその募集案内の内容について私個人の感想を交えながらご紹介したいと思います。
あまりイメージは沸かないけど、部活動の地域移行はかなり大きな改革だよね。
生徒と教員、どちらにとってもメリットのある改革になってほしいね。
※この記事は東京都教育委員会のホームページ内にある下記ページを基に作成しましたが、現在募集期間は終了しています。
「令和6年度都立学校部活動指導員(会計年度任用職員)の募集案内」東京都教育委員会(2023.12.22)
採用予定数と職務内容
今回、東京都教育委員会では都内161校の467部活動について、各部活動若干名として募集しています。
部活動指導員を配置する都立学校をまとめた、別添「令和6年度 都立学校部活動指導員配置予定校一覧」を見てみると、各校約3部活程度の募集 となっているようです。
職務内容については
「学校の教育計画に基づき、生徒の自主的、自発的な参加により行われるスポーツ、文化、科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)である部活動において、校長の監督を受け、以下の部活動に係る職務に従事する。」として
- 実技指導
- 安全・障害予防に関する知識・技能の指導
- 学校外での活動(大会・練習試合・合宿等)の引率
- 用具・施設の点検・管理
- 部活動の管理運営(会計管理等)
- 保護者等への連絡
- 年間・月間指導計画の作成
- 生徒指導に係る対応
- 事故が発生した場合の現場対応
- その他、 部活動指導に関し、配置校の校長及び教育委員会が必要と認める事項
以上10項目の具体的な職務内容が示されました。
そのどれもが部活動を運営する上で必須になる業務ですし、特に ③「学校外での活動(大会・練習試合・合宿等)の引率」と ⑥「保護者等への連絡」はとても助かります。
我々教員は日々の業務にプラスしてこれら全てを行っていたわけなので、改めてその負担の大きさを感じました。
私自身はその競技の専門部(大会までの各種準備や当日の運営などを無給で遂行する先生方の集まり)に所属していたので、自分が顧問を務める部活動の運営だけでなく、学校間や大会時借用施設とのやり取り、備品の発注や管理、大会運営方法の検討など、市および県全体の運営にも携わっていました。
特に時間のかかる「審判員の依頼とその配置表の作成」をするときは、同じ専門部所属の先生方と職員室でカップラーメンをすすりながらよく深夜まで作業をしたものです。
正直、かなりしんどかったです。
そこまで時間をかけたのに大会当日は審判員として動かなければならないため、3年間関わってきた生徒たちの試合を見られない時も多々あり、悔しい思いもしました。
勤務条件
東京都で募集されている部活動指導員は「会計年度任用職員」なので(その他の自治体でもほぼ同様)、1年契約の非常勤職員 という扱いになります。
東京都教育委員会ホームページでは、
(1)勤務時間
年間90時間以上740時間以内(配置先により異なる。)
※原則として平日3時間、休日4時間
※部活動指導に係る準備・打合せ等の時間を含む。
※長期休業中の平日は、休日と同様に扱う。
※対外試合等の場合の1日当たりの勤務時間については、7時間45分まで可とする。
※勤務日等の詳細については、配置校の校長の定めるところによる。
(2)休暇等
(有給)年次有給休暇、公民権行使等休暇、慶弔休暇、夏季休暇(※) 、母子保健健診休暇、妊婦通勤時間、出産支援休暇、育児参加休暇、妊娠出産休暇
(無給)育児時間、子どもの看護休暇(※)、生理休暇、短期の介護休暇(※)、介護休暇(※)、介護時間(※)、育児休業(※)、部分休業(※)
※一定の要件を満たす場合
(3)報酬
時間額 2,300円(参考額:令和5年度実績)
通勤手当相当額を別途支給(上限2,600円/日)
※一定の要件を満たす場合、期末手当を支給
(4)社会保険等
地方公務員等共済組合法、厚生年金保険法、雇用保険法等の加入要件を満たす場合は適用する。
(5)災害補償等
有
上記のような勤務条件が提示されていました。
勤務時間についてはかなり幅があり、活動に伴う準備や打合せ等の時間も勤務時間として認められているようです。
そして何より・・・
時給2,300円っ!!!
これは現職で部活動顧問をされている先生なら、とても魅力的に感じたかもしれません。
(ちなみに私の自治体と比較すると、休日約3時間分の手当に相当します…)
応募資格
東京都教育委員会ホームページでは、
次の(1)及び(2)の両方を満たす者
(1)学校教育の一環としての部活動の意義を理解し、校長の指揮命令の下、教職員との連携を図りながら 部活動指導員の職務を遂行する資質・能力及び専門的な知識・技能を有する者で、次のアからエまでのいずれかを満たす者
ア 中学校、高等学校又は大学等における部活動指導の経験が6年以上ある者
イ 当該専門分野に関する職業又は指導の経験が6年以上ある者
ウ 当該専門分野の経験及び指導経験が合わせて6年以上あり、かつ、教員免許状を有する者又は採用前日までに取得見込みの者
エ 当該専門分野の経験と部活動指導員経験が合わせて6年以上ある者
(2)次のアからオに示す欠格事由の全てに該当しない者
ア 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
イ 東京都職員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
ウ 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、地方公務員法第60条から第63条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
エ 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
オ 民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)附則第3条第3項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者
と示されており、競技に関する専門性だけでなく 一定の指導力 も求められていることがわかります。
指導実績のある方にお任せできることは、教員だけでなく生徒や保護者にとっても安心につながるのではないでしょうか。
まとめ
ここまで、東京都立学校における部活動指導員の募集案内についてご紹介させていただきましたが、地方を見てみるとまだまだ改革が進んでいない現状があります。
特に一番の課題となるのは「指導者の確保」であり、これには必ず地域格差が生じます。
こうしたことを受け大阪府では、府立高校の部活動について近隣の学校が合同で部活動を実施する「複数校1部活制」に関するガイドラインが示されました。
一筋縄ではいかない難しい課題ではありますが、部活動改革の更なる進展に期待し今後の動向も注視していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日々走り続ける全国の先生方へ、敬意を込めて。
はじめまして、部活動指導員をどちらの学校で何の部活動で募集されているか気になり調べたのですが詳しい情報がほとんど見つからず困っています。
どのように探されましたか?
コメントありがとうございます。
部活動指導員の募集一覧は「令和〇年度 都立学校部活動指導員配置予定校一覧」というタイトルで都の教育委員会ホームページにあげられていました。
私は一昨年前の分から確認していますが、例年12月にホームページに掲載された後、一定期間経過すると見られない状態になります。
よって現在はその一覧を確認することはできませんが、12月になると来年度の募集要項とともに新たな情報が公開されるかもしれません。
ご参考までに。